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正球性貧血(80≦MCV≦100)

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⓵ 慢性疾患に伴う貧血(anemia of chronic disease:ACD)

※ 正球性貧血だが、経過が長いと小球性になる

疾患

・感染症、慢性炎症性疾患、悪性腫瘍が原因で起こる貧血

・複合的な要因(鉄利用障害、造血抑制、エリスロポイエチンの相対的不足、赤血球寿命短縮)によっておこる

・基本的に除外診断である

・フェリチンは十分あるにも関わらず利用が障害されている状態

・正球性貧血だが、経過が長いと小球性になる

 

原因疾患

・慢性感染症(一般細菌、抗酸菌、真菌、寄生虫、ウイルス感染症など)

・自己免疫性疾患(関節リウマチ、SLEなど)

・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、Crohn病など)

・自己炎症性疾患

・慢性肝臓病

・慢性腎臓病

・うっ血性心不全

・慢性肺疾患(COPD、肺高血圧症など)

・甲状腺機能低下症

・栄養障害(鉄、亜鉛、銅欠乏、葉酸、ビタミンB12欠乏(自己免疫性萎縮性胃炎による))

・Castleman病

・ランゲルハンス細胞組織球症

・悪性腫瘍(固形がん、悪性リンパ腫など)

・慢性GVHD

・薬剤性(メトトレキサート、抗菌薬など)

 

機序

炎症性サイトカイン(IL-6など)が上昇

肝臓でヘプシジンが過剰に産生される

ヘプシジンが網内系細胞に貯蔵された鉄放出を抑制する。

そのため、血清鉄値低下させ、網内系貯蔵鉄(フェリチン)を増加させる。

さらに、ヘプシジンは腸管(十二指腸)からの鉄吸収を抑制する

 

検査所見

・血清鉄低値

・小~正球性貧血(概ねMCV84以下、MCHC 30%以下)

・血清フェリチン正常~増加(鉄欠乏性貧血との鑑別点:100ng/mL以上ならACDと考える)

・TIBC低値(鉄欠乏性貧血では増加)

※血清フェリチン値が30~100ng/mLでは、ACDとIDAが併存してる可能性を否定できない

・CRP陽性(炎症を反映)

 

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再生不良性貧血→専門医コンサルト

・末梢血で汎血球減少症があり、骨髄が低形成を示す疾患。

・血球減少は必ずしも全ての血球というわけではなく、軽症例では貧血と血小板減少だけで白血球数は正常ということもある。

・診断のためには、他の疾患による汎血球減少症を除外する必要がある。

・汎血球減少(貧血は正球性)

・網赤血球減少

・梢血中に芽球なし

※骨髄異形成症候群との鑑別

ずれも汎血球減少を呈するが、骨髄異形成症候群は無効造血と骨髄の異形成の形態異常がみられます。それに対して再生不良性貧血は骨髄が低形成を呈します。

 

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溶血性貧血→専門医コンサルト

・正球性貧血

・網赤血球増加(無効造血では低下:鑑別点)

・LDH増加

・間接ビリルビン増加

・血清ハプトグロビン減少

 

急性白血病→専門医コンサルト

・正球性貧血

・白血球数増加または減少

・血小板減少

・末梢血中に芽球あり

 

腎性貧血

・主にCKD 4期以降(GFR<30mL/分/1.73m²)で出現

・EPOが正常でも否定できんない

 

鉄芽球生不応性貧血

・ミトコンドリアに鉄が異常に沈着した環状鉄芽球の出現を特徴とする貧血である。

・遺伝性(先天性)と後天性に大別され,さらに後者は骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)に代表される特発性と,抗結核薬投与やアルコール常飲など明らかな原因のある二次性に大別される。

・鉄芽球性貧血のほとんどはMDSに伴う鉄芽球性貧血であり,遺伝性・二次性は稀である。

後天性鉄芽球性貧血の原因:

・骨髄異形成症候群

・薬剤(クロラムフェニコール,サイクロセリン,イソニアジド,リネゾリド,ピラジナミド)

・毒性物質(エタノール,鉛など)

・ビタミンB6(ピリドキシン)欠乏

・銅欠乏(→亜鉛過量摂取でも発症)

 

検査所見

・鉄芽球性貧血の検査所見の特徴は,貧血、骨髄における環状鉄芽球の出現(15%以上)である。

・さらに,種々の程度で鉄過剰所見を認める。

〈末梢血液所見〉
・鉄芽球性貧血においては,ほぼ例外なく貧血の出現を認める。

・MDSに伴う鉄芽球性貧血症では,貧血とともに白血球減少・血小板減少も伴う(汎血球減少)ことがあり、また貧血はMCVが100fLを超える軽度大球性であることが多い。

・一方,ALAS2遺伝子変異に伴う遺伝性鉄芽球性貧血では小球性貧血となるのが特徴である。

〈骨髄所見〉
・骨髄における環状鉄芽球の出現が,遺伝性・後天性を問わず鉄芽球性貧血の診断において重要である。

・MDSはもともと造血幹細胞レベルの異常により引き起こされる病態であるが,そのうちの一部の病型で鉄芽球を認める。

・WHO分類によると,MDSのうち骨髄赤芽球中に環状鉄芽球を15%以上認めかつ芽球が5%未満で1),赤芽球系のみの異常にとどまるものはrefractory anemia with ringed sideroblasts(RARS)2),2系統以上の血球系列の血球減少および異形成を認めるものはrefractory cytopenia with multilineage dysplasia and ringed sideroblasts(RCMD─RS)と分類される。環状鉄芽球以外に,低分葉好中球(偽ペルゲル核異常)・無顆粒好中球・微小巨核球の出現は,MDSを特徴づける異形成所見として重視される。

〈その他〉
□MDSでは赤芽球の骨髄内破壊(無効造血)により,しばしば血清鉄や体内の貯蔵鉄量を反映する血清フェリチン濃度が増加している。さらに無効造血を反映して,血清LDHの上昇,ハプトグロビン低下,間接ビリルビン軽度増加も認める。

□遺伝性鉄芽球性貧血の診断には遺伝子検査が必須であるが,家族歴の有無が重要な情報となる。また,遺伝性鉄芽球性貧血のうちALAS2遺伝子変異に伴う症例では,鉄過剰所見も認める。

 

急性出血

網状赤血球数増加

 

 

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