溶接ヒューム
・溶接ヒュームとは、特定化学物質(第2類物質)で、アーク溶接の際にアークから発生する熱で金属が溶けた後、蒸気に変わって大気中に放出され、蒸気が空気中で急激に冷やされて酸化し、金属のとても小さな粒子に変化したもの
※ アーク溶接とは
溶接の種類の1つで「アーク放電」という現象を利用した溶接方法です。アーク放電は気体の放電現象です。離れた電極間に電圧をかけると空気の絶縁が破壊され、電極間に電流が発生します。その際に、高温の強い光が生じます。その光が弧(Arc)状で「アーク」と呼ばれます。このアークの熱を熱源とした溶接をアーク溶接といいます。アークの温度は5000~20000℃になり、金属の融解温度より高くなるため、様々な金属の溶接をすることができます。そのため、アーク溶接は自動車や建築物など金属を使用する様々な物の製作に用いられます。
・ヒュームの一次粒子の粒径は1㎛以下が主である。
(参考:「ミスト」は液体の微細な粒子が空気中に浮遊しているもので、粒径は、5~100 μm程度で、ミストの方がヒュームより粒径が大きい)
金属アーク溶接等作業に係る措置
・事業者は、金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場において、新たな金属アーク溶接等作業の方法を採用しようとするとき、又は当該作業の方法を変更しようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣の定めるところにより、当該金属アーク溶接等作業に従事する労働者の身体に装着する試料採取機器等を用いて行う測定により、当該作業場について、空気中の溶接ヒュームの濃度を測定しなければならない。
要求防護係数
・溶接ヒュームの法改正により、防塵マスクなど呼吸用保護具の着用が義務化された
・防護係数とは、防塵マスクなど呼吸用保護具の性能を表す数値です。防護係数が高ければ高いほど、マスク内への粉じんの漏れ込みが少なく、作業者のばく露が少ない呼吸保護具ということになります。
・溶接ヒューム法改正(労働安全衛生法施行令、特定化学物質障害予防規則等の改正)により、金属アーク溶接等作業に労働者には、その作業環境で必要とされる防護係数(要求防護係数)を上回る「指定防護係数」の呼吸保護具を着用することが義務付けられました。
・要求防護係数とは、測定された溶接ヒューム中のマンガン濃度を基準値(0.05mg/m3)で除した値を要求防護係数といいます。
要求防護係数PFr
=C(溶接ヒューム濃度の測定結果から得られたマンガン値)/0.05
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