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虫垂炎

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症状

・虫垂炎の症状出現順位は必ず『腹痛→嘔吐の順』(感度100%、特異度64%)

Abdominal Pain→Emesis(嘔吐))なので、AP(P)Eと記憶する)

・心窩部、臍周囲部痛から右下腹部への移動(感度 64%、特異度82%)

・腹部CTで糞石を認めるのは25%程度

 

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身体診察:

陽性尤度比が比較的高く、虫垂炎を評価するのに役立つ所見:

・腹痛が嘔吐より先行:陽性尤度比 2.8(感度 100%・特異度64%)

・右下腹部の痛み:陽性尤度比 8.0(感度 84%・特異度90%)

・熱:陽性尤度比 1.9(感度 67%・特異度79%)

・痛みの移動:陽性尤度比 3.2(感度 64%・特異度82%)

・反跳痛:陽性尤度比 1.1~6.3(感度 63%・特異度69%)

・腸腰筋徴候:陽性尤度比 2.4(感度 16%・特異度95%)

 

 

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身体所見(これ5つ+α)

Mcburney圧痛点:LR 3.4

Heel drop sign :感度93%(感度高い→なければ除外できる)

立位でつま先立ちをした後、踵を床に勢いをつけて落とす。痛みが出現すれば陽性。

Rosenstein sing
左側臥位で圧痛部を押すと、仰臥位の時よりも痛みが増強
tapping sign

右下腹部叩打痛(感度高い→なければ除外できる)

psoas sign:特異度 95%(あれば疑わしい)

左側臥位で右下肢を伸展させ、検者が他動的に右股関節を伸展させる。
→痛みが増強すれば、腸腰筋が化膿した虫垂に当たっていると診断する(深い虫垂でも分かる)

感度 16%、特異度 95%(あれば疑わしい)

・Rovsing sign:

左下腹部を圧迫すると、右下腹部の痛みが増強する

・deep persusion(深部叩打痛:by Dr.林)

深部にある虫垂炎に対し、まず腹壁を圧迫してから、叩打痛を調べる

 

MANTRELS スコア(Alvarado スコア):虫垂炎診断スコア

10点満点

・1~4点では虫垂炎は否定的(unlikely)(感度99%→除外できる

5点以上で虫垂炎の可能性あり

(5 ~6点:possible)

・7点以上では虫垂炎が強く疑われる(LR3.1)→手術適応も(感度92.6%、特異度84.7%)

(7~8点:probable)

・9点以上はvery probable

項目

・migration of pain(心窩部から右下腹部への痛みの移動): 1 点
・anorexia(食欲不振) :1 点
・nausea(嘔気、嘔吐) :1 点
・tenderness in RLQ(右下腹部の圧痛): 2 点
・rebound pain(反跳痛) :1 点
・elevated BT(37.3℃以上の発熱) :1 点
・leukocytosis(白血球数≧10000 /μL): 2 点
・shift of WBC to the left(核の左方移動:好中球割合≧75%): 1 点

画像検査

① 虫垂炎エコー

手技:
コンベックスプローベ使用
・右下腹部横断像、腸腰筋外側、腸骨の上のairによるアーチファクトを引いた構造物が上行結腸
・さらに尾側にスライドし、右から回腸が入ってくるのを確認(回盲部)
・さらに尾側にスライドすると、airが途切れる(ここが盲腸末端)
・盲腸末端を同定できたら、その周囲から出てくる虫垂を探す
・コンベックスで発見できなかったらリニアに変える。
虫垂炎エコー所見:

・圧迫で潰れない(一番痛い所)

・蠕動なし
直径≧6㎜で疑い(≧10㎜なら確実)
・虫垂内糞石があれば、径に関係なく陽性(糞石を認めるのは25%程度)

② MRI

・感度92~93%、特異度94~99%と有効
・特に妊婦の虫垂炎診断に有用

③ 腹部造影CT

 

フォローアップの方針

・確信が持てない場合は、10時間フォローが必要!

参考:妊婦の虫垂炎

・妊娠中の急性府腹症の原因として最多
・妊娠では白血球数が上昇するため、白血球数は診断に有用ではない
・妊娠中は増大する子宮により虫垂位置が頭側や外側に偏位するため、疼痛部位が右下腹部でないことがある。
・妊娠第3期では、圧痛の所在がはっきりせず、右上腹部や側腹部にみられることがある。
・妊婦では生理的水腎症をきたしやすく、エコーで水腎症を認めても病的化の判断はできない(→尿検査が必要)
・妊婦では腹部エコー(7㎜以上腫大を描出したいが、困難なことが多い)、単純MRIが診断に有用(CTは被爆の問題があり避けること)

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