症状
・虫垂炎の症状出現順位は必ず「腹痛→嘔吐の順(感度100%、特異度64%)」
(Abdominal Pain→Emesis(嘔吐))なので、AP(P)Eと記憶する)
・心窩部、臍周囲部痛から右下腹部への移動は50~60%程度
・腹部CTで糞石を認めるのは25%程度
身体所見(これ5つ+α)
・Mcburney圧痛点:LR 3.4
・Heel drop sign :感度93%(感度高い→なければ除外できる)
立位でつま先立ちをした後、踵を床に勢いをつけて落とす。痛みが出現すれば陽性。
・Rosenstein sing:
左側臥位で圧痛部を押すと、仰臥位の時よりも痛みが増強
・tapping sign:
右下腹部叩打痛(感度高い→なければ除外できる)
・psoas sign:特異度 95%(あれば疑わしい)
左側臥位で右下肢を伸展させ、検者が他動的に右股関節を伸展させる。
→痛みが増強すれば、腸腰筋が化膿した虫垂に当たっていると診断する(深い虫垂でも分かる)
感度 16%、特異度 95%(あれば疑わしい)
・Rovsing sign:
左下腹部を圧迫すると、右下腹部の痛みが増強する
・deep persusion(深部叩打痛:by Dr.林)
深部にある虫垂炎に対し、まず腹壁を圧迫してから、叩打痛を調べる
MANTRELS スコア(Alvarado スコア):虫垂炎診断スコア
10点満点
・1~4点では虫垂炎は否定的(unlikely)(感度99%→除外できる)
・5点以上で虫垂炎の可能性あり
(5 ~6点:possible)
・7点以上では虫垂炎が強く疑われる(LR3.1)→手術適応も(感度92.6%、特異度84.7%)
(7~8点:probable)
・9点以上はvery probable
項目
・migration of pain(心窩部から右下腹部への痛みの移動): 1 点
・anorexia(食欲不振) :1 点
・nausea(嘔気、嘔吐) :1 点
・tenderness in RLQ(右下腹部の圧痛): 2 点
・rebound pain(反跳痛) :1 点
・elevated BT(37.3℃以上の発熱) :1 点
・leukocytosis(白血球数≧10000 /μL): 2 点
・shift of WBC to the left(核の左方移動:好中球割合≧75%): 1 点
画像検査
① 虫垂炎エコー
参照:虫垂炎エコー
手技:
コンベックスプローベ使用
・右下腹部横断像、腸腰筋外側、腸骨の上のairによるアーチファクトを引いた構造物が上行結腸
・さらに尾側にスライドし、右から回腸が入ってくるのを確認(回盲部)
・さらに尾側にスライドすると、airが途切れる(ここが盲腸末端)
・盲腸末端を同定できたら、その周囲から出てくる虫垂を探す
・コンベックスで発見できなかったらリニアに変える。
虫垂炎エコー所見:
・圧迫で潰れない(一番痛い所)
・蠕動なし
・直径≧6㎜で疑い(≧10㎜なら確実)
・虫垂内糞石があれば、径に関係なく陽性(糞石を認めるのは25%程度)
② MRI
・感度92~93%、特異度94~99%と有効
・特に妊婦の虫垂炎診断に有用
③ 腹部造影CT
フォローアップの方針
・確信が持てない場合は、10時間フォローが必要!
参考:妊婦の虫垂炎
・妊娠では白血球数が上昇するため、白血球数は診断に有用ではない
・妊娠第3期では、圧痛の所在がはっきりせず、右上腹部や側腹部にみられることがある
・妊婦では腹部エコー、MRIが診断に有用(CTは被爆の問題があり避けること)
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