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咽頭痛、咽頭炎の診察(5 killer sore throat(致死的咽頭痛)を含む)

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診察の手順

・本当に咽頭痛か?

→「嚥下時痛」を伴えば、狭義の「咽頭痛」と診断できる

→そうでない場合は、鑑別診断の方向性が異なってくる

・突然発症:心筋梗塞や大動脈解離も考慮

・甲状腺に圧痛があれば、亜急性甲状腺炎

・若い女性では高安病の初期症状など

 

※身体診察のみで正確な診断は困難。疑ったら迷わず「造影CT」を!!

 

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red flag症状

・激しい痛み(嚥下が困難な程の強い嚥下時痛、嚥下困難)

炎症が高度なことを示す

・声の変化(くぐもった声→急性喉頭蓋炎)

上気道狭窄による症状

・開口困難(→深頚部感染症、破傷風、巨細胞性動脈炎)

感染が咬筋などの周囲組織に波及していることを示す

・突然発症(心筋梗塞、大動脈解離、咽頭遺物、縦郭気腫、食道破裂)

・流涎

・呼吸苦

・喘鳴

・頚部stridor聴取

・頚部腫脹

・口蓋垂の偏位、軟口蓋の左右差

・sniffing position

・努力呼吸

 

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代表疾患

急性喉頭蓋炎

小児:3~7歳

・インフルエンザ桿菌が多い
・こもった声、高熱、嚥下痛、座位で流涎、stridor
・前頚部正中に著明な圧痛あり
・検査:頚部側面X線

成人:

・インフルエンザ桿菌以外に、連鎖球菌やブドウ球菌、大腸菌、ウイルス、真菌などの幅広い微生物によって発症する
・喫煙者、男性に多い

・感冒症状を前駆症状として発症

・「これまでの風邪でこんなに喉が痛かったことはない」が決め手

・唾液嚥下すら困難な強い嚥下痛、嚥下困難

流涎

・発熱(早期には認めないことが多い)

・くぐもった声(muffled voice):熱いジャガイモを食べているような声で、hot potato voiceとも言われる

・tripod position、sniffing positionをとることがある

・舌骨部の圧痛

・stridor(+)なら緊急事態

検査

・頚部側面軟線撮影(thmub sign、vallecula sign)

thmub sign:喉頭蓋が腫大し、親指のシルエットのように見える(感度は50%)
vallecula sign:喉頭蓋谷の消失

 

参照(このサイトより引用):https://tsunepi.hatenablog.com/entry/2016/07/12/010000

・血培提出

(咽頭ぬぐい液の採取は禁忌!)

・喉頭ファイバー検査

 

治療

・Hibを想定し、CTRX2g 1日1回、7~10日

 

 

 

扁桃周囲膿瘍(咽頭外側部感染症)

・片側性の激しい咽頭痛、開口障害

・「のどが痛くて食事が摂れない」「口が開けにくい」

・片側の扁桃腫大、口蓋垂の偏位、前口蓋弓の前方への突出

・疑われたら咽頭造影CTを

 

咽頭後壁膿瘍、咽後膿瘍(咽頭後部感染症)

・食道と椎体に挟まれる軟部組織の空間(retropharyngeal space)に生じた炎症

・脳底部から縦郭まで波及する可能性がある

小児に多いとされるが、成人でも糖尿病や高齢者などの免疫不全がリスクとなり発症しうる

・小児では扁桃腺炎後の合併症として発症

・成人例では外傷、魚骨などの異物誤嚥、免疫能低下患者でみられることが多い

・咽頭痛、頚部痛、発熱、斜頸、嚥下障害、頚部可動域制限(頚部伸展制限)

・muffled voiceを呈することもある

・頚部側面X線で疑う(C2椎体前面で軟部組織が5~7mm以上)

・確定診断は頚部造影CT

 

 

口腔底蜂窩織炎、下顎窩膿瘍(Ludwig’s angina)ルードヴィッヒアンジーナ

・抜歯後や下顎骨折、口腔内のピアシングなどを契機に発症する顎下部の軟部組織の蜂窩織炎

・歯科感染を契機をしたものが7割を占める

・下顎歯(特に第2、第3臼歯)の齲歯からの感染波及が多い

・顎下部から前頚部にかけて腫脹、発赤を認める

・顎舌骨筋によって分けられている顎下腔に炎症が速やかに進展し、舌を後上方に押し上げるため、気道閉塞の危険性が高い

・嚥下痛、嚥下障害、開口障害、流涎、stridor

 

Lemierre syndrome(内頚静脈感染性血栓性静脈炎)

・主に扁桃炎や咽頭炎といった口腔内の感染症が一段落した後、2~3週間してからリンパ管を介して広がった細菌が頸動脈鞘、特に内頚静脈に炎症が波及して内頚静脈の化膿性血栓性静脈炎をきたしたもの

・大部分は口蓋扁桃または扁桃周囲組織に影響を与える咽頭炎から生じる。

・まれに乳様突起炎、歯周囲感染、中耳炎から波及することもある

・若年者(平均22歳)に多い

・起炎菌は口腔内の嫌気性菌(特にFusobacterium necrophorum)が多い

・咽頭痛、頚部腫瘤、頚部痛、開口障害を認める

・内頚静脈に沿った圧痛を認める

・全身に菌が散布され、敗血症性肺塞栓症や感染性心内膜炎、膿胸、関節炎などをきたす(死亡率5~20%)

頚部造影CTが必要

血栓でつまった内頚静脈

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参照(このサイトより引用):https://radiologykey.com/lemierres-syndrome/

 

非感染性疾患の鑑別

・咽頭痛を主訴とする疾患の大半は急性の感染症である

・しかし病歴が長かったり、咽頭痛以外の症状を伴っていたりする場合は、非感染性の原因を考慮する必要がある。

主な疾患

悪性腫瘍

白血病

咽頭癌、扁桃癌など

薬剤性

無顆粒球症(発熱+咽頭痛が特徴的)

リウマチ膠原病疾患

ベーチェット病

成人Still病(70%に咽頭痛)

石灰沈着性頚長筋腱炎(発熱、咽頭痛、嚥下痛が特徴)

 

 

 

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