参照ガイドライン
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023(日本腎臓病学会)
CKD診断基準(エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023)

GFRの推算式
※ 日常診療では GFR は、血清クレアチニン(Cr)と年齢、性別より日本人の GFR 推算式
を用いて「推算 GFR(eGFR)」として評価する .
日本人のGFR推算式 (eGFR),クレアチニンクリアランス推算式 (eCCr)

※ 血清シスタチンCに基づくGFR(eGFRcys)
・クレアチニンは筋肉量に比例するため、長期臥床、るい痩、四肢欠損などでは血清クレアチニン値が低値となる、eGFRは高く推算される(血清クレアチニン値が逆数となるため)
・一方血清シスタチンCに基づくGFR(eGFRcys)がある。
・血清シスタチンCは、筋肉量や運動の影響を受けにくい。そのため長期安静臥床による骨格筋量の減少や、逆にリハビリ・運動療法による筋肉量の増加が想定される症例では、血清クレアチニンによるeGFRのみならず、eGFRcysも測定することが望ましい。
初診時の対応
① 急性か、慢性か?
・ますは急性なのか、慢性なのかを聴取する。
② その原因は何か?
3大原因
・糖尿病
・腎硬化症
・糸球体腎炎(経過が早い、血尿+高度の蛋白尿で疑う→専門医へ紹介が必要)
診断に必要な検査
血液検査(糖尿病検査を含む)
尿検査
・尿沈渣
・尿蛋白定定量、尿中Cr濃度
・尿蛋白定量(g/日)(尿蛋白/Cr比(g/gCr)で代用)
糖尿病では尿アルブミン定量(mg/日)(尿アルブミン/Cr比(mg/gCr)で代用)
・eGFR計算(mL/min/1.73m2)
※血尿+高度の蛋白尿では「糸球体腎炎」を疑う(→専門医へコンサルト)
腹部エコー
・腎後性、多発嚢胞腎の確認
CKDの重症度分類
CKDの重症度分類:
・CKD重症度分類は「CKD診療ガイド2012」を踏襲する。
・CKD の重症度は「原疾患」「腎機能」「尿蛋白区分」の組み合わせで評価する
・eGFRは腎臓の排泄機能を示し、尿蛋白は糸球体障害の程度を表している。

原疾患の例:
糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症、腎炎、多発性嚢胞腎、不明、その他(ANCA関連血管炎、紫斑病性腎炎、ループス腎炎(SLE腎炎)、IgG4関連疾患(IgG4関連腎臓病)など)
表記例:
「糖尿病性腎症 G2A3」
「腎炎 G3bA1」
「高血圧性腎硬化症疑い G4A1」
「多発性囊胞腎 G3aA1」
「原因不明の CKD G4A2」
などと表記する
重症度:
・「重症度」は色で示される。緑■ のステージを基準に、黄■ ⇒ オレンジ■ ⇒ 赤■ の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する。
・緑色の部分に対して赤色のところは、末期腎不全による透析導入の危険が数百倍から数千倍になる

かかりつけ医での治療
生活習慣改善
・禁煙指導
・体重管理(BMI<25)
・運動療法(Mets3~5)
食事制限(塩分、蛋白、エネルギー)
塩分制限:3g/日以上、6g/日未満
・3g/日未満の過度の減塩はしない(低栄養を招く危険性、GFR低下の危険性があるため)
蛋白制限
・G3a(GFR45~59)まで:0.8-1.0g/標準体重/日
・G3b(GFR30~44)以降:0.6-0.8g/標準体重/日
エネルギー
25-35Kcal/標準体重/日
糖尿病、肥満などを合併している場合は、ガイドラインを参考に病態に応じて調整
CKDの薬物治療:腎保護作用薬
・蛋白尿(+)のCKDでは、DM合併の有無を問わずRAS系阻害薬が第一選択。
※ RAS系阻害薬はすべてのCKDステージにおいて投与可能である。
・尿蛋白(+)のCKDでは、DMの有無を問わずSGLT2阻害薬(フォシーガ®10mg、ジャディアンス®10mg:)の投与を考慮する。
※ eGFR<45では中止を検討、eGFR<30では禁忌(効果が期待できないため)
ARB/ACE-I(糸球体内圧降下薬)
・腎血流を低下させずに糸球体内圧を下げるには輸出細動脈を拡張させるとよい。RAS阻害薬’ACE-I/ARB)は糸球体輸出細動脈を拡張させる
・尿蛋白が陽性なら、血圧が高くなくても投与する
・腎機能が悪くても、常用量で投与を目指す。
SGLT-2阻害薬
・DKDでは基本的に投与する(ジャディアンス®、フォシーガ®)
・尿蛋白陽性の場合は、DMの有無に関わらず投与を考慮(ジャディアンス®、フォシーガ®)
・「虚弱高齢者」、「飲水1500mL/日ができない人」では投与は見合わせる
CKD患者の血圧コントロール(高血圧管理・治療ガイドライン2025)
「年齢や併存疾患によらず130/80 mmHg未満」
・「JSH2025」では原則として「年齢や併存疾患によらず130/80 mmHg未満」を降圧目標とする方針に統一された。
つまりCKD患者も基本的には
診察室血圧:<130/80 mmHg
(家庭血圧:<125/75 mmHg)
が目標となった。
CKD患者の降圧薬選択
CKDで糖尿病、非糖尿病で蛋白尿(+)の場合:RAS阻害薬が第一選択
・ACE阻害薬/ARBが第一選択(腎保護作用が期待できる)
・RAS系で効果不十分な場合、第2選択薬として、CVDハイリスク型には長時間作用型Ca拮抗薬、体液貯留型には利尿剤を処方する
・利尿剤はステイG1=G3ではサイアザイド系を選択し、ステージG4ーG5ではループ利尿剤を選択する
非糖尿病で蛋白尿(-)の場合:
・ARB/ACE阻害薬、長時間作用型Ca拮抗薬(CVD、利尿剤(サイアザイド系、(G1~G3)、ループ利尿薬(G4~G5))から選択。
・これらを2剤、3剤組み合わせて130/80未満を目指します。JSH2025では単剤に固執せず、早期併用療法を推奨しています。

血糖値管理
・目標HbA1c<7.0%
・まずはメトホルミン(使える容量で)(ただしeGFR<30:ステージG4、G5で禁忌)
・その他、DPP-4(トラゼンタ5㎎)
・Alb尿あればSGLT2阻害薬(糖尿病あり→ジャディアンス)
脂質管理
・CKDは心血管疾患のきわめて高いリスク群であるため、スタチンによる脂質管理を一次予防として積極的に行う。
・eGFR<60+LDL>120でスタチンの適応
目標値
冠動脈疾患既往あり
・LDL-C<100
・non-HDL-C1<130
冠動脈疾患既往なし
・LDL-C<120
・non-HDL-C<150
腎性貧血管理
・11.0未満が治療開始基準
・治療目標:Hb 10-11.5(13以上では有害)
・鉄剤補充開始基準
フェリチン<100ng/mL
TSAT<20%
・ミルセラ®が第一選択
カリウム管理
・高K血症がある場合、1500mg/日未満
第一選択:
・ポリスチレンスルホン酸カルシウム(カリメート®、アーガメイト®)第一選択
便秘の副作用
・ケイキサレート®:第2選択
高Naの副作用
・ロケルマ®
高額
ミネラル管理(カルシウム、リン)
・高リン血症は異所性石灰化を介して心血管疾患リスクを増大させ、生命予後を著しく悪化させる。
・カリウム、リンを多く含む食品(果物、乳製品、加工品)の制限
・リン吸着薬は食事中のリンと結合して初めて効果を発揮するので、食直後の確実な内服を促す(タイミングの重要性を指導)
・Ca、P正常値へのコントロール(活性型ビタミンD製剤)
・P制限(食事療法、P吸着薬)
薬剤
・炭酸ランタン(ホスレノール®)
高リン血症治療剤
二次性副甲状腺機能亢進症
・副甲状腺ホルモンは血液中のカルシウム濃度が低下した際に分泌され、骨・腎臓・腸に働いて血中カルシウム濃度を上昇させる。
・副甲状腺ホルモン(PTH)は、腎臓に作用して尿からリンを排泄させ、血液中のリンを下げる働きがある。
・腎機能低下により高リン血症と低カルシウム血症となり、副甲状腺が過剰にPTHを分泌するために発症する。
アシドーシス管理
・eGFR<30から疑う(静脈血ガスでもOK)
・NaーK<36で疑う(アニオンギャップ上昇)
・治療介入基準:HCO3-<21mmol/L(またはNa-Cl<36)
・炭酸水素ナトリウム(重曹):1.5g/日より開始、基準値の24mmol/Lを目指す。
血液透析患者および慢性肝疾患患者における既存治療で効果不十分なそう痒症
・ナルフラフィン塩酸塩(製品名:レミッチなど)
透析や慢性肝疾患に伴う、従来の抗ヒスタミン薬が効きにくい強い痒み(そう痒症)を改善する、オピオイドκ(カッパ)受容体作動薬
維持透析患者における便秘対策
・維持透析患者における便秘は、水分制限、食事内容、薬剤の副作用など、多様な要因が絡み合い難治性である
・高マグネシウム血症のリスクがあるため、ルビプロストン(アミティーザ®)やエロビキシバット(グーフィス®)を選択する。
腎臓専門医への紹介
腎臓専門医への紹介基準

腎臓専門医・専門医療機関への紹介目的(原疾患を問わない):
1)血尿、蛋白尿、腎機能低下の原因精査
2)進展抑制目的の治療強化(治療抵抗性の蛋白尿(顕性アルブミン尿)、腎機能低下、高血圧に対する治療の見直し、二次性高血圧の鑑別など)
3)保存期腎不全の管理、腎代替療法の導入
詳細:
・CKDには「IgA腎症」や「ループス腎炎」など、腎臓専門医による治療を要する腎疾患が含まれるため,蛋白尿と血尿を両方認めるCKD患者は腎臓専門医もしくは地域の専門医療機関に紹介する。
・またGFR<45(G3b~5)または蛋白尿区分A3では腎臓専門医・専門医療機関に紹介する。
・40歳未満やA2区分(蛋白尿>0.15g/gCr)ではGFR 45~59(G3a)でも紹介することが望ましい.
・65 歳以上であっても eGFR が 45 より低値では,総死亡および ESKD (end-stage kidney disease: 末期腎不全)のリスクが上昇することから、eGFR 45 未満の場合には腎臓専門医・専門医療機関への受診が推奨される 。
・紹介基準に該当しなくても,急速な腎機能低下(3か月以内に30%以上の腎機能悪化)などを認めれば,速やかに腎臓専門医・専門医療機関に紹介することが重要である。
紹介に際し必要な情報
① 基礎疾患(DM、HTなど)
② 腎機能、尿所見の経時的推移
③ ADL、認知能力、ACP
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