疫学
・世界の死亡原因の第3位(WHO 2019年)
・日本人では男性で第8位(女性は10位以内にはいっていない)(厚労省、2017年)
・日本人の有病率は40歳以上で8.6%、530万人。70歳以上で約210万人(NICE study,2001)
危険因子
・危険因子としては、喫煙、大気汚染などの「外的因子」と遺伝素因などの「内的因子」がある
・COPD患者の90%に喫煙歴がある
・喫煙者の発症率は15~20%
・気道過敏性や喘息もCOPDの危険因子である
・遺伝素因として「α1-アンチトリプシン欠損症」があるが、欧米人に多く我が国においては極めて稀である
COPDの併存症
・栄養障害
・骨格筋機能障害
骨格筋の減少や質的変化
1/3で大腿四頭筋の筋力低下を認める
・心・血管疾患
・骨粗鬆症
・不安・抑うつなどの精神症状
高率に合併
・メタボリックシンドローム
・糖尿病
COPDを疑わせる症状
※ 病初期では自覚症状や身体所見は出現しないことが多く、診断は困難である。
・労作時息切れ
・慢性の咳、痰
・Dahl徴候(座位の時、横隔膜平坦化を改善させようと前屈位を好む)
心不全徴候との鑑別
・心不全では前屈位では腹圧が上昇することによって静脈還流量が増加し息苦しくなるため
(前屈呼吸苦:bendopnea)、椅子の背もたれにどっかと寄りかかるようにして座るのを好む。
喫煙歴の確認
参照:喫煙、禁煙指導
pack-years
すなわち、「1日のタバコの箱数×年数」を表す。
・喫煙の量を示す国際的な指標。
・クリニカルパールとしては、記憶しやすいように
「20 pack-yearsの患者の20%がCOPDである」と覚えておく。
・ガイドラインでは「10~20pack-years以上の喫煙があり、40歳以上であればCOPDを疑う」との記載がある(ポイントは「10年以上、1日1箱以上のたばこを吸っているか」である)。
・特に20pack-yearsを超えていれば、「目の前の患者さんは少なくとも20%の確率でCOPDがある」と考え、積極的に呼吸機能検査を行う必要がある。
・40pack-yearsなら尤度比 19.1
身体所見
気管短縮(肺過膨張による所見)
・輪状軟骨(甲状軟骨の下にある軽い突出)から胸骨切痕までの距離
・正常では2横指(3㎝)以上入る
・1横指程度しか入らない場合は気管短縮(→肺過膨張)と診断
肺胞呼吸音減弱、打診で過共鳴音
打診で心濁音界消失(滴状心)
・正常の心臓は胸骨正中部から左鎖骨中線の程度
・滴状心では打診で心臓の濁音が消失し、鼓音しか聞かれない
心窩部心尖拍動触知(滴状心)
Hoover徴候(横隔膜平底化)
・吸気時横隔膜収縮時に、胸郭下部の収縮、下部肋間の陥没を認める
吸気早期crackle
・閉塞した末梢気道が吸気早期に開くときに聞かれる。
・開口した口元に聴診器を近付け、呼吸してもらう。
・1秒率≦45%と予測できる
吸気時鎖骨上窩、肋間腔の陥凹
・吸気時の過剰な気道抵抗による胸腔内過剰陰圧が原因
呼気延長、口すぼめ呼吸
樽状胸郭
・COPDによって肺に空気が残り、肋骨が水平に近くなることで、胸郭が樽状に変形した状態となる。
検査
呼吸機能検査(スパイロメトリー)
「閉塞性換気障害」の所見
気管支拡張薬吸入後の1秒率(FEV1%)<70%を示す。
FEV1%(1秒率)=FEV1(1秒量)/ FVC(努力肺活量)
参照:呼吸機能検査
胸部X線検査(可能なら胸部CT)
・肺野の透過性亢進、過膨張、横隔膜平低化、滴状心
・肺癌、心不全、気管支拡張症の除外
その他(血液ガス、心電図)
呼吸不全や肺性心合併を考える場合に必要
診断
「気管支拡張薬吸入後の1秒率(FEV1%=FEV1 / FCV)が70%未満の場合、COPDと診断される」
FEV1:1秒量、FCV:努力肺活量
・気管支拡張薬は通常短時間作用型β2刺激薬吸入を用いることが多く、吸入後10~15分経過してから検査することが勧められている

症状の客観的評価
mMRC (modified British Medical Research Council:修正MRC)
息切れ度の評価
Grade 0:激しい運動をしたときだけ息切れがある
Grade 1:平坦な道を早足で歩く、あるいはゆるやかな上り坂を歩くときに息切れがある
Grade 2:息切れがあるので,同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いているとき、息切れのために立ち止まることがある
Grade 3:平坦な道を約 100 m,あるいは数分歩くと息切れのため立ち止まる
Grade 4:息切れがひどく家から出られない,あるいは衣服の着替えをするときにも息切れがある
CAT(COPD assessment test)
・①咳,②喀痰,③息苦しさ,④労作時息切れ,⑤日常生活,⑥外出への自信,⑦睡眠,⑧活力の 8 項目でCOPD患者の QOL を総合的に半定量する評価法。
・CAT≧10点で「QOL低下」と判定。
このサイトより引用:http://www.gold-jac.jp/support_contents/cat.html

病期、重症度分類(GOLD分類)
GOLD:Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease
COPDの病期は、1秒量の予測1秒量に対する比率(対標準1秒量)に基づいて分類
%FEV1(対標準1秒量)=FEV1(1秒量) / 予測1秒量
※ COPDの診断には1秒率(FEV1/FVC)が用いられるが、相対指標であるため、FVCの低下が強くなると1秒率の低下が認められる。そのため病期分類に対標準1秒量が用いられる。
II期 :中等度の気流閉塞 50% ≦ %FEV1 < 80%
III期 :高度の気流閉塞 30% ≦ %FEV1 < 50%
IV期 :きわめて高度の気流閉塞 %FEV1 < 30%
治療方針決定のためのグループ分類(新GOLD分類:2017)
・横軸は症状の程度で、COPDアセスメントテスト(CAT)スコアや修正MRC(mMRC)息切れスケールが高い人ほど重症とし、縦軸は増悪頻度で、増悪が多い人を重症としています。
・そのため、グループAが最もリスクが低く、Dが最もリスクが高い集団になります。
参照(このサイトより引用):https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kurahara/202106/570419.html

コメント