オゾンの人体に対する作用
・オゾンは酸素(O2)の同位体であり、酸素が強力な紫外線の照射を受けて生成しますが、大気が自動車排ガスに含まれる窒素酸化物や炭化水素により汚染されている状況で生じやすく、都市部において夏期の日中に高濃度になります。
・室内でも高電圧を用いる装置であるブラウン管テレビやコピー機などからも、臭気を感じさせる程度のオゾンが発生します。
・オゾンは生臭い特有の刺激臭をもつ薄青色の気体であり、労働衛生的許容濃度は0.1 ppmとされています。この濃度では、人体に対して目や咽喉などの粘膜を刺激するため、涙が出たり、のどが痛くなったりするし、0.5 ppm以上では明確な上気道への刺激、呼吸障害や胸痛が起こることが知られています。また、植物にも葉の変色や成長阻害などを引き起こします。
・地表付近のオゾン濃度が上昇すると上述のような弊害が起こりますが、オゾンは人類にとって有益な役割も持っています。例えば、約20 km上空にはオゾン層と呼ばれるオゾン濃度の高い部分が存在しており、太陽光のうち最も人体に有害な波長の短い紫外線(UV-C)を吸収して、地上に降り注ぐことを防いでいます。
・オゾン層の破壊は、このオゾン層が冷蔵庫の冷媒などに使用されていたフロンガスにより分解され、UV-Cの地上に到達する量が増加することにより皮膚の炎症や皮膚がんの増加を引き起こす可能性があるために話題を集めました。従って、現在では全世界的にフロンガスの使用が制限されています。
・また、オゾンは強い殺菌作用や消臭作用を有するだけでなく残留性も低いので、水道水の浄化や食品の殺菌にも用いられています。
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