二酸化炭素について
人の呼気成分
・酸素:16%
・二酸化炭素:4%
外気の二酸化炭素濃度
・0.04%(=400ppm=0.0004)
許容濃度
・事務所則第5条第1項第2号では、「空気調和設備又は機械換気設備を設けている場合の、室に供給される空気は1,000ppm以下(0.1%以下)になるように調整しなければならない」としている
・なお、日本産業衛生学会は二酸化炭素の許容濃度を5,000ppmとしている(ほとんどのすべての労働者に健康影響は表れない濃度)。
事務所で二酸化炭素濃度を上昇させる要因
・都市部の近代的なビルの事務所では、事務所内の要員の増加、空調機のメンテ不足や誤った調整による外気取り入れ量の減少などが大きな原因である。
・プレハブの建築事務所などでは、ガスファンヒータ、湯沸かし器の設置等によるケースも見られる。
・また、特殊な例として換気の外気取り入れ口が地下駐車場に設置されていたため二酸化炭素濃度の高い外気を取り入れるようなケースも見られる。
二酸化炭素濃度を適正にするための方法
・気中濃度の測定
・換気量の適正化(1人当たり30m3/h以上)
・燃焼器具がある場合は、排気筒、換気扇、その他の換気設備を設ける。
二酸化炭素で現れる症状
・二酸化炭素の濃度が高くなると、呼吸数と1回換気量の増加、呼吸の深さが増すといった症状が現れ、さらに濃度が高くなると粘膜に刺激、頭部圧迫感、血圧上昇、耳鳴りが現れる。
・6%程度になると、呼吸数が著明に増加、皮膚血管の拡張・悪心が起こる
・8%程度では精神活動の乱れ、呼吸困難が著明となる。
・10%では、意識喪失、呼吸困難となる
・20%まで上昇すると中枢が麻痺し、死亡することもある。
事務所衛生基準基則
換気(一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率)
事務所衛生基準基則第3条第2項
事業者は、室における一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率(1気圧、温度25度とした場合の空気中に占める当該ガスの容積の割合をいう。以下同じ。)を、それぞれ百万分の50以下及び百万分の5千以下としなければならない」とある。
※ 日本産業衛生学会の二酸化炭素の許容濃度も5,000ppm
事務所則第3条第2項第2号
・空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備)又は機械換気設備(空気を浄化し、その流量を調節して供給することができる設備)を設けている場合は、室に供給される空気について、事業者は、室における一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率(一気圧、温度二十五度とした場合の空気中に占める当該ガスの容積の割合をいう。以下同じ。)を、それぞれ百万分の50以下及び百万分の5000以下としなければならない。
空気調和設備又は機械換気設備を設けている場合の空気
0.1%(=1000ppm=0.001)以下
・事務所則第5条第1項第2号では、「空気調和設備又は機械換気設備を設けている場合の、室に供給される空気は1,000ppm以下になるように調整しなければならない」としている
・なお、日本産業衛生学会は二酸化炭素の許容濃度を5,000ppmとしている(ほとんどのすべての労働者に健康影響は表れない濃度)。
空気調和設備等による調整(温度、湿度)
・空気調和設備を設けている場合は、室の気温を18度以上28度以下になるように努めなければならない(事務所則第5条第3項)
・室を冷房する場合は、当該室の気温を外気温より著しく低くしてはならない(事務所則第4条)
気温
18度以上28度以下
対策
①空調機による改善(設定温度と室内温度の違いに留意する必要がある)
②サーキュレータによる室内気流の循環
③壁、天井、床、窓等の断熱効果の強化
④二重窓の採用、窓ガラスへの遮熱シートの設置、ブラインドやカーテンの設置
⑤部屋の気密性の向上
など
湿度
40%以上70%以下
(しつ→し(し、しち))
冬期に湿度が低くなったときの症状や疾病
・湿度が低いとウイルスが増殖しやすいので、風邪やインフルエンザに罹患しやすくなる。
・皮膚が乾燥して肌が荒れる
・アレルギー症状が悪化する
・目の刺激症状や角膜前涙液層の変質が増加する
・皮膚の乾燥・かゆみ
・のどの痛み・乾燥
・くしゃみ、せき、
・鼻水,鼻づまり
など
対策
・冬季の湿度は50~60%程度にすることが望ましい。
・そのためには、調湿機能付きの空調システムを活用
・マスクをする
点検
・空気調和設備を設けている場合は、冷却塔及び冷却水について、当該冷却塔の使用開始時及び使用を開始した後、2か月以内ごとに1回、定期に、その汚れの状況を点検しなければならない。
・ 空気調和設備を設けている場合は、冷却塔、冷却水の水管及び 加湿装置の清掃を、それぞれ1年以内ごとに1回、定期に、行わなければならない(事務所則第9条の2第5号)。
室内の気流
事務所則第5条第2項
・空気調和設備等により室に流入する空気が、特定の労働者に直接、継続して及ばないようにし、かつ、室の気流を0.5m/s以下としなければならない。
・事務室の環境管理のための気流の測定は、0.2メートル毎秒以上の気流を測定することができる 風速計又はこれと同等以上の性能を有する測定器を使用して行うものとする(事務所則第8条)。
ホルムアルデヒドの量の測定
・ホルムアルデヒドの量の測定は、労働者を常時就労させる室の通常の使用時間中に、当該室の中央部の床上50センチメートル以上150センチメートル以下の位置において行うものとする。
(※ A測定と同じ高さ)
・ホルムアルデヒドの試料採取方法として、「固体捕集方法」が挙げられている。ホルムアルデヒド測定は検知管によることができるものとされており、ホルムアルデヒドの検知管としてはシリカゲル管が使用される。
※固体捕集法:
試料空気を固体粒子層などに通し、目的物質を固体粒子に捕集する方法です。 固体粒子層にはシリカゲル、活性炭などの吸着剤を用います。 ノルマルヘキサンなどの無極性の有機溶剤に活性炭管が使用されます。
室の照明設備
・労働者を常時就業させる室の照明設備について、6か月以内ごとに1回、定期に、点検しなければならない。
・室の作業面の照度
精密な作業: 300ルクス以上
普通の作業 :150ルクス以上
粗な作業 :70ルクス以上
機械による換気のための設備の点検
【事務所衛生基準規則】(点検等)
第9条
・機械による換気のための設備については、はじめて使用するとき、分解して改造又は修理を行なったとき、及び2月以内ごとに一回、定期に、異常の有無を点検しなければならない。
窓その他の開口部の直接外気に向かって開放することができる部分の面積
・事業者は、室においては、窓その他の開口部の直接外気に向って開放することができる部分の面積が、常時床面積の 20 分の1以上になるようにしなければならない。
気積
・労働者を常時就業させる室の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について、10 立方メートル以上としなければならない。
・労働者を常時就業させる室の温度が 10 度以下の場合は、暖房する等適当な温度調節の措置を講じなければならない。
・空気調和設備を設けている場合は、冷却塔及び冷却水について、当該冷却塔の使用開始時及び使用を開始した後、病原体によって室の内部の空気が汚染されることを防止するため1か月以内ごとに1回、定期に、その汚れの状況を点検しなければならない。
燃焼器具
・燃焼器具(発熱量が著しく少ないものを除く)を使用するときは、毎日、当該器具の異常の有無を点検しなければならない。
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