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DM治療薬(内服、注射、インスリン)

  1. 糖尿病治療の原則
    1. 1)糖尿病の病態
    2. 2)初診時の病態把握
    3. 3)治療薬の選択
        1. 非肥満症例の治療方針
        2. インスリン導入困難症例の治療
    4. 4)経過観察
  2. 血糖降下薬の種類
  3. ① インスリン抵抗性改善薬
    1. メトホルミン(メトグルコ®)
        1. 処方困難例
        2. 処方例
    2. ピオグリタゾン(アクトス®)
  4. ② インスリン分泌促進薬
    1. DPP-4阻害薬
        1. ① ジャヌビア®(シタグリプチン)
        2. ①トラゼンタ®(リナグリプチン)
        3. ②テネリア®(テネリグリプチン)
    2. GLP-1受容体作動薬
        1. ①トルリシティ―®(デュルグラチド)
        2. ②セマグルチド(リベルサス®)
    3. スルホニル尿素薬(SU薬)
        1. 処方例)
    4. グリニド(速効型インスリン分泌促進薬)
        1. 処方例
  5. ③ 糖吸収・糖排泄調節薬
    1. SGLT2阻害薬
        1. 適応
        2. 投与中の注意と副作用
    2. α-GI
  6. 食後高血糖治療薬
  7. インスリン治療
    1. インスリン療法の適応
        1. 絶対的適応
        2. 相対的適応
    2. インスリン量の決め方
  8. BOT(basal supported oral therapy)
    1. SMBG(self-measurement of blood glucose)
  9. インスリンの種類
    1. 超速効型
        1. インスリン アスパルト(ノボラピッド®)
        2. インスリン リスプロ(ヒューマログ®)
        3. インスリン グルリジン(アピドラ®)
    2. 中間型
    3. 持効型
        1. インスリン デグルデグ(トレシーバ®)
        2. インスリン グラルギン(ランタス®、ランタスXR注ソロスター®)
        3. インスリン デテミル(レベミル®)
    4. 混合型
  10. シックデイ
    1. 基本原則
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糖尿病治療の原則

1)糖尿病の病態

・2型糖尿病の病態は「インスリン分泌能低下」と「インスリン感受性低下(インスリン抵抗性増大)」の両者が個々の患者に種々の程度で加わり、その結果、インスリン作用不足が起こることである。

・その結果慢性の高血糖をきたし、種々の合併症が惹起される

・欧米人の2型糖尿病患者ではインスリン抵抗性増大が発症に関与する場合が多い。

・一方、日本人の場合は「インスリン分泌能低下」が病態の主体となりやすいとされ、「それほど太っていない(非肥満)2型糖尿病」を診察する機会が多いと考えられる

 

2)初診時の病態把握

・インスリン分泌能、インスリン抵抗性の確認

・既存の合併症のスクリーニング
・明らかな誘因のない急激な血糖上昇の場合は、必ず悪性腫瘍(特に膵臓癌)の除外を行う必要がある。
・初診時からおおよそ3か月間は生活習慣改善、食事療法、運動療法のみで経過観察を行う

3)治療薬の選択

・新たに経口血糖降下薬を投与する場合は、単独では低血糖や体重増加を生じない薬剤から選び、少量から始める必要がある。
75歳未満で、肝障害、腎障害がなければ、体格に関係なく「メトホルミン(メトグルコ®)」は第一選択になる(消化器症状があるため、500㎎ 分2から開始)

腎機能低下(eGFR<30mL/min/1.73m²)では禁忌。

75歳以上の高齢者へのメトホルミンの新規導入は避ける

・75歳未満の高度肥満症例(BMI≧30)では、第一選択薬として「GLP- 1受容体作動薬」を検討する

 

非肥満症例の治療方針
・非肥満型型(BMI<25)、メトホルミンが禁忌の場合、または75歳以上の高齢者では「DPP-4阻害薬」から開始する。
・低体重症例(BMI<18.5)では生活習慣の要因が少なく、内因性インスリン分泌能の高度低下または栄養状態不良が背景にある可能性がある。1型糖尿病が否定できず第一選択薬に「インスリン」を選択する必要がある場合もあるため、専門医への紹介を考慮する。
※ やせ型糖尿病:
インスリン分泌不足により、ブドウ糖をエネルギーとして十分活用できず、
すでにある脂肪やタンパク質をエネルギーとして使ってしまい、
「ちゃんと食事を摂っているのに糖尿病で痩せる」という現象が起こる。
インスリン導入困難症例の治療
・インスリン注射が必要だが、何らかの理由でインスリン導入が困難な場合、グリニド(SU薬より低血糖のリスクが低い)を検討する
・SU薬の中ではグリグラジド(グリミクロン®)は他のSU薬と比較して重症低血糖のリスクが少ないといわれている

4)経過観察

・1か月ごとに外来受診、空腹時血糖、HbA1cを測定
・薬剤の追加や変更は、通常同一薬剤で2~3か月(原則は3か月)みてから行う
・血糖降下薬を2剤併用してもHbA1cが8.5%以上の場合には、3剤目追加による効果は限定的であるため、基礎インスリンの導入を考慮する。
・また血糖降下薬を3剤併用してもHbA1cが8.0%以上の時は専門医にコンサルトする

 

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血糖降下薬の種類

大きく分けて「インスリン抵抗性改善薬」「インスリン分泌促進薬」、「糖吸収・糖排泄調節薬」の3種類がある

 

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① インスリン抵抗性改善薬

メトホルミン(メトグルコ®)

・ビグアナイド薬
・内服薬では肥満』の場合第一選択、『非肥満』では第二選択
・グルカゴンシグナル抑制、肝臓でのAMPK活性化による肝放出抑制
・空腹時血糖のみならず、食後血糖低下作用もある
インスリン製剤などの注射薬も含め、あらゆる種類の血糖降下薬との併用が有用
・問題となる副作用は、主に消化器症(腹痛、下痢、悪心など)
・体重減少効果に乏しい
・肥満症例(BMI≧25)では血糖コントロールが目標範囲内でも、高インスリン血症是正のために男性1500㎎、女性1000㎎まで増量し、体重と血糖コントロールを確認しながらの用量調整を勧める
・消化器症状がない場合は、1日1500㎎まで増量すると十分な血糖下降作用が発揮される
(※ 近年は、1000㎎まで投与しても効果がない場合は、GLP-1受容体作動薬やSGLT-2阻害薬を併用することが有効とされる)
eGFR<30では禁忌。中等度腎機能障害では、腎機能に応じた減量を要する。
75歳以上の高齢者へのメトホルミンの新規導入は避ける
処方困難例
① 75歳以上の高齢者
・新規導入は避ける
② 腎機能障害時(Cre男性>1.3、女性>1.2)
・中止、減量が必要
eGFR(体表面積補正後)による調整:
30mL/min/1.73m²未満:禁忌
30≦eGFR<45:750㎎/日以下
45≦eGFR<60:1500㎎/日以下
③ 重症感染症、脱水
④ ヨード造影剤使用時
・乳酸アシドーシスを避けるため、検査前後2日間合計5日間の休薬が必要
⑤ アルコール多飲
⑥ 重度肝不全、心不全
処方例
メトグルコ®(250mg)
・2T(500mg) 分1(朝食後)~分2(朝夕食後)で開始
(1日1回でも可)
・維持量:1日 750~1500㎎(3~6錠)分2~3
・最大投与量 9T 3×(2250mg/日)
・腎機能障害時の最大投与量:
eGFR45~60 :1500mg/日まで
eGFR30~45:750mg/日まで

ピオグリタゾン(アクトス®)

・チアゾリジン系インスリン抵抗性改善
・脂肪細胞に脂肪蓄積作用
・体重増加作用、体液貯留作用
・高用量の長期使用で膀胱癌発生率上昇の可能性あり
・メトホルミンで効果不十分なインスリン抵抗性が強い症例に対する併用薬として処方

 

② インスリン分泌促進薬

DPP-4阻害薬

・肝での糖新生の抑制効果もあり

・基本はメトホルミンに上乗せで処方

・体重増加リスクが低い

『非肥満』患者では第一選択

・末期腎不全でも慎重投与可能

腎機能低下者、高齢者、メトホルミンが使えない人でも比較的安全に使用できる(第一選択)

・特にリナグリプチン(トラゼンタ®)とシタグリプチン(ジャヌビア®グラクティブ®)は心不全などの併存疾患を有する高齢者への有効性が検証されている

 

① ジャヌビア®(シタグリプチン)

・腎代謝

・ジャヌビア®(50) 1~2T 1×朝食後

 

①トラゼンタ®(リナグリプチン)

・肝代謝(胆汁排泄型)

腎機能障害合併例でも投与量を調整することなく処方可能

(腎機能障害時でのfirst choice)

・心不全などの併存疾患を有する高齢者への有効性が検証されている

トラゼンタ®(5mg) 1T 1×朝食後

 

②テネリア®(テネリグリプチン)
・2/3胆汁、1/3腎排泄
腎機能障害合併例でも投与量を調整することなく処方可能
例) 20 mg 1 日 1 回 朝食後

GLP-1受容体作動薬

・DPP-4阻害薬より血糖下降効果は強力

食欲抑制による減量効果あり(脳内に発現するGLP-1受容体を介した作用)

肥満を合併した2型糖尿病に良い適応

・残存する膵β細胞機能に依存するため、投与前に、インスリン非依存状態でないことを確認する必要がある

(抗GAD抗体陰性、かつ空腹時血中Cペプチド≧1ng/mL)

・基本はメトホルミンに上乗せ

・インスリンとの併用可

・嘔気、嘔吐、便秘などの副作用あり、低用量から開始して漸増する

・腹部手術または腸閉塞の既往のある患者では腸閉塞が起こる危険性があるため、既往を確認する必要がある

 

①トルリシティ―®(デュルグラチド)

週1回の注射製剤(在宅で使いやすい)

・高分子量のため脳血管関門を通過しにくく減量効果は小さい。

・そのためサルコペニア予防の観点から、高齢の非肥満2型糖尿病に良い適応

 

②セマグルチド(リベルサス®)

・2021年2月発売の経口薬

・空腹時に少量(120mL以下)の水とともに服用、少なくとも30分は飲食および他の薬剤の経口摂取は避ける。粉砕や分割は不能。

 

 

スルホニル尿素薬(SU薬)

・イメージ的には「持効型インスリン製剤の内服版」

・ターゲットは「空腹時高血糖の是正」

・インスリン分泌不全が主な病態の「非肥満型の2型糖尿病」が好適応

空腹時高血糖や、体重減少や尿ケトン体陽性などインスリン分泌低下が予想される場合で、本来ならインスリンを使用した治療が検討されるがそれが困難な症例

・肝機能障害や腎機能障害、特に高齢者では遷延性低血糖のリスクがあることから慎重に検討する(高齢者ではSUの代わりにグリニドを使用すること)。

・SU薬の中ではグリクラジド(グリミクロン®)は他のSU薬と比較して重症低血糖のリスクが少ないといわれている(高齢者にSU薬を投与する場合にはグリグラジドを選択

・またグリクラジド(グリミクロン®)は大血管症と死亡率低下効果が良好である

eGFRが30未満では禁忌

処方例)

・グリクラジド(グリミクロン®:第2世代)

10㎎ 1日1回朝から開始(夜間低血糖を避けるため)、最大20㎎

1日1~2回(朝、夕食前または食後)

 

・グリメピリド(アマリール®:第3世代)

0.5㎎から開始、最大1㎎

1日1~2回(朝、夕食前または食後)

 

 

※グリベンクラミド(オイグルコン®、ダオニール®)は相対的力価が強く、作用時間も長いため「遷延性低血糖」の危険性が高いことから、最近は使用されない

 

グリニド(速効型インスリン分泌促進薬)

・イメージ的には「速効型インスリン製剤の内服版」

・作用発現は服用後30分以内で、約60分で効果最大となり、作用発現時間は3~4時間。

・ターゲットは「食後高血糖の改善」

食後高血糖主体の2型糖尿病に良い適応がある。

 

処方例

・レパグリニド(シュアポスト®)

1日0.75mg~1.5mg(分3、毎食直前)

 

③ 糖吸収・糖排泄調節薬

SGLT2阻害薬

・インスリン作用とは無関係に尿糖の再吸収を抑制し、糖を尿中に排泄させて血糖値を下げる

・グルコース排泄亢進によるカロリーロス、体内の異化亢進から、明らかな体重減少作用がある

食欲は増えてしまう

・前負荷、後負荷軽減作用(ナトリウム再吸収抑制)による心血管イベント抑制作用もある

・イプラグリフロジン(スーグラ®)とタパグリフロジン(フォシーガ®)は1型糖尿病にも適応あり(ただし1型糖尿病ではインスリンとの併用が必須)

基本はメトホルミンに上乗せ

心血管保護作用、腎保護作用も有する

・2型糖尿病の有無に関わらず、CKD(末期腎不全や透析患者を除く)に対し、パタグリフロジン(フォシーガ®)10mg が投与可能

(ただしeGFR<15では禁忌)

・2型糖尿病のない慢性心不全患者において、パタグリフロジン(フォシーガ®)10mgが投与可能

 

適応

1)2型糖尿病発症早期の患者

・健診で初めて糖尿病を指摘されたような症例は好適

・食事、運動療法でもHbA1cが目標値に達しない場合、それらを継続した上で開始

2)肥満型、若年2型糖尿病患者

3)腎障害のある2型糖尿病患者

4)インスリン、またはインスリン+DPP-4阻害薬で効果不十分な2型糖尿病患者

5)糖毒性の強い2型糖尿病患者(HbA1c 8~9%以上)

・糖毒性解除目的に、インスリンに併用

 

投与中の注意と副作用

1)高齢者への使用の見解

・一般的には認知機能や身体機能が保たれている高齢者に用いるべき

・脱水に陥りやすいため、投与初期には飲水を促す必要がある

・体内の異化が亢進し筋肉量が減少する可能性があるため、サルコペニア・フレイル症例への投与は避ける

食事摂取が安定しない患者においては飢餓の悪化を招き、場合によってはケトアシドーシスなど重篤な合併症を引き起こすため、投与を避ける必要がある。

 

2)脱水への注意

・SGLT2阻害薬は投与初期に約500mL程度の尿量増加が認められるため、十分な飲水指導が必要(内服開始後2週間)

 

3)正常血糖ケトアシドーシス

・血糖値が低下しインスリン分泌も低下し、絶対的インスリン作用不足に陥りケトン体が産生されるため

(肝臓で血糖の低下を補正するように糖新生増加し、脂肪組織では脂肪分解が亢進する。そのようにして産生された遊離脂肪酸が肝臓でケトン体に変換され、血中ケトン体が急増するとケトアシドーシスになる)

・尿ケトン体検査では3-ヒドロキシ酪酸を検出できないため、血中ケトンも適宜確認する必要がある

・SGLT-2阻害薬の内服と絶食などの病歴や全身倦怠感、悪心、嘔吐、腹痛などの症状がある場合は血中ケトン体(即時にできなければ尿ケトン体)を測定する必要がある

 

4)尿路感染症、性器感染症(特に女性)

・これらの既往が高頻度に認められる患者には投与を控える

 

5)腎機能障害

・eGFR 30未満では投与禁忌

・フォシーガ10㎎については、「CKDを適応疾患とする場合、eGFR 25未満では投与の必要性を慎重に判断し、末期腎不全(eGFR15未満)では投与しないこと」、と記載されている。

 

 

α-GI

・小腸での糖吸収を抑制、食後高血糖を改善

・「ひまん型の2型糖尿病で食後高血糖(180㎎/dL以上)」が良い適応

※「やせ型」(インスリン分泌不全)の食後高血糖にはグリニドを選択

・高齢者や開腹歴のある高齢者では注意

・1日1回、最も炭水化物を摂る食事の直前から開始

例) 1日1回 夕食直前)

 

 

食後高血糖治療薬

食後高血糖を見抜く方法:ビッグミールの後に尿糖をチェックし、陽性なら食後高血糖の存在が示唆される

まずはビッグミールの後、1日1回から(夕食直前)

・やせ型→グリニド薬1日1回から併用開始(レパグリニド(シュアポスト®))

・肥満型→α-GI(セイブルは軟便になり、ベイスンは便秘になりやすい特徴があり、使い分ける)

 

 

インスリン治療

インスリン療法の適応

参考:「糖尿病治療ガイド2022-2023」

絶対的適応

・インスリン依存状態(1型糖尿病)

・高血糖性の昏睡(糖尿病ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群)

・重症の肝障害、腎障害を合併している時

・重症感染症、外傷

・中等度以上の外科手術(全身麻酔施行例)の際

・糖尿病合併妊娠(食事、運動療法だけでは基準内の血糖応答を実現できない時)

・静脈栄養時の血糖コントロール

 

相対的適応

・著明な高血糖を認める場合

空腹時血糖250㎎/dLや随時血糖350㎎/dL

ケトーシス、代謝失調を呈する時

・経口血糖降下薬による治療にも関わらず、十分な血糖応答が得られない場合

例)経口血糖降下薬を3種類以上用いているにも関わらずHbA1c8.0%以上が3か月以上続く場合

・やせ型で栄養状態が低下してる場合

・ステロイド治療時に高血糖を認める場合

・糖毒性を積極的に解除する場合

 

インスリン量の決め方

・実測体重当たり、0.2~0.3単位/kgで導入し、その30~50%を持効型(1日1回、同じ時間ならいつでも可:ランタス®、トレシーバ®)、残り50~70%を超速効型(毎食直前:ノボラピッド®、ヒューマログ®)(もしくは速効型)に割り振るのが一般的

・導入は入院対応がのぞましい

・食前の血糖値を確認しながら単位数を調整。

・食前の血糖値が目標域に入ったら食後1時間または2時間の血糖値を確認し、食後の血糖上昇が十分に補正されていなければ、超速効型(もしくは速効型)を発現時間がより速い製剤に変更する

早い製剤:インスリンリスプロ(ヒューマログ®、インスリンリスプロ®)、インスリングルリジン(アピドラ®)

遅い製剤:インスリンアスパルト(ノボラピッド®)

 

BOT(basal supported oral therapy)

内服薬に1日1回の持効型インスリン(インスリン デグルデグ:トレシーバ®)を併用する治療

・打つ時間はどこでもOK

・内服はSU剤、グリニド以外は継続

・初回は必ず手技指導

・自宅で空腹時自己血糖測定(SMBG)をしてもらう

0.05~0.1単位/kg(1日4単位程度)から開始、2単位ずつ増減

・導入1週間後再診、インスリン注射および血糖測定手技の確認

2~4週間ごとに再診、目標は空腹時血糖80~120mg/dL程度を目標に、インスリンを2単位ずつ増減

・BOTは空腹時高血糖の改善に有効であるが、食後の急激な血糖上昇は是正できないため、食後高血糖が残存する場合は、必要に応じて超速効型インスリンを組み合わせた強化インスリン療法への移行を検討する(この時点で入院、専門医紹介でも可)

 

SMBG(self-measurement of blood glucose)

・まずは1日1回、朝食前の血糖測定を行う。

・空腹時血糖が改善してきたら、1~2週間に1回は毎食前後(場合によっては就寝前も)の測定を行い、より厳密な血糖コントロールを目指す

 

インスリンの種類

超速効型

インスリン アスパルト(ノボラピッド®)

・ライゾデグ®(インスリンアスパルト+インスリンデグルデグ)に含有されている

・デバイスはトレシーバ(48時間作用)と同じフレックスペンを使用

 

インスリン リスプロ(ヒューマログ®)

 

インスリン グルリジン(アピドラ®)

 

 

中間型

(最近は使用頻度が低下している)

 

持効型

インスリン デグルデグ(トレシーバ®)

第一選択

・持効型

持続時間が42時間超と最長。

最大作用時間に明らかなピークがなく平坦で、安定した血糖降下作用が期待できる

(特に打つ時間が安定しない人でも可)

・ライゾデグ®(混合型)に含まれる持効型

・単位数の増減の効果が数日たたないと明らかでない。

・レベミルより高価

 

インスリン グラルギン(ランタス®、ランタスXR注ソロスター®)

・作用時間は24時間未満

・XRは濃度がランタスの3倍の濃度(300単位/mL)

 

インスリン デテミル(レベミル®)

・持効型

・作用時間は24時間未満

・1日1~2回

 

混合型

・ライゾデグ®(インスリンアスパルト+インスリンデグルデグ)

 

シックデイ

※基本は入院を考慮

基本原則

・できるだけ食べる

単純糖質を多く含む清涼飲料水や果物の過剰摂取は血糖値を急上昇させるため控え、粥やスープなど摂取しやすい食物を選んで、糖質100~200mg程度を摂取する。

・1日2L程度の水分摂取により脱水を予防

持効型インスリンはやめない

・内服薬は半分くらい取れる時はDPP4は継続、食べられない時は内服は全て中止

・尿中、血中ケトン体を測定。

 

 

 

 

medicina 2022年 1月号 特集 クリニカルクエスチョンで学ぶ糖尿病治療薬-糖尿病治療の新しい潮流 

 

 

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