1) 65歳未満
・合併症予防の観点からHbA1cの目標値を『7.0%未満』とする。
・対応する血糖値としては、『空腹時血糖値130㎎/dL未満』『食後2時間血糖値180㎎/dL未満』をおおよその目安とする。
2) 高齢者(65歳以上:マルチモビディティ状態を含む)
・高齢者、心不全、腎不全、肝硬変などを併存した高齢者の糖尿病管理では、低血糖を起こさず、極端な高血糖も起こさないことが目標。
・低血糖は絶対に起こさないこと
→SU剤はなるべく使用しない
・メトホルミンは新規では使用しない。
・SGLT2阻害薬は脱水症をおこす可能性があるため、「75歳以上の高齢者、あるいは65歳から74歳で老齢症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)がある場合には慎重に投与する」
・α-グルコシダーゼ阻害薬は腹部手術歴のある症例では、腸閉塞の危険性があるため使用しない。
・目標:マルチモビディティー状態では、HbA1c 9~10%
(しかし随時血糖400㎎/dLを超えない程度を目標)
高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c 値)
・高齢者糖尿病の血糖コントロール目標を設定するためのカテゴリー分類は
「DAS-8」の点数でカテゴリーⅠ~Ⅲに分類する
DAS-8 (認知・生活機能質問票)
高齢者糖尿病の血糖コントロール目標を設定するためのカテゴリー分類は「DAS-8」の点数でカテゴリーⅠ~Ⅲに分類する
・高齢者糖尿病の血糖コントロール目標に関しては、2016年に高齢者糖尿病の治療向上のための日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会より、「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)」が発表されています。
・この血糖コントロール目標は患者の認知機能やADLなどによって3つのカテゴリーに分けて設定するものです。
・日本老年医学会では、DASC-21(地域包括ケアシステムのための認知症アセスメントシート)の短縮版である「DASC-8(認知・生活機能質問票)」を用いて、高齢者の血糖コントロール目標設定のためのカテゴリー分類ができることを明らかにした。
判定法
・DASC-8の合計点が10点以下でカテゴリーⅠ、11~16点でカテゴリーⅡ、17点以上でカテゴリーⅢの可能性が高いと判定する。
参照:老年症候群患者に対する糖尿病治療
糖尿病治療ガイド2022-2023
日本糖尿病学会 (著, 編集)
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